

最近、TOEICファンの間で、聴いて気持ちよくて、スコアも上がる! と密かな人気になっている歌がある。『TOEIC L&R TEST 900点特急』の著者でもある、カリスマTOEIC講師・加藤優さんが作った歌だ。
TOEICマニアを自認する加藤さんとは、一体どんな人なのか? また、加藤さんが作詞・作曲した「Should You Have Any Questions」がなぜウケているのか? その秘密に迫る。
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「タッカラプト・ポッポルンガ・プピリット・パロ」は、ドラゴンボールでナメック星人が神龍(シェンロン)を呼び出す呪文だ。この呪文が、加藤少年の未来を決めた。
加藤少年は、ナメック語に憧れ、母語以外の言葉を操ることを目指し、英語好きな青年に育つ。17歳のときには、仙台の繁華街にあるアーケード商店街で流しのシンガーとして英語の歌も歌っていた。
そして、青山学院大学の英米文学科に進学したところで衝撃を受ける。クラスメートの大半を占めていた帰国子女の流暢な英語に打ちのめされたのだ。将来は、英語を教える仕事がしたいと漠と考え始めていた矢先だった。
そんなとき、はじめてTOEICテストを受けた。海外経験がない自分が打ち込める英語の勉強方法を模索していた加藤にとって、いつでも自分の力が測れるTOEICテストは魅力的だった。
卒業時期、はじめはいくつかの業種で就活をはじめたが、それでもやっぱり自分は英語を教える仕事がしたい、という気持ちが強まった。そのときTOEICスコアは855点だったが、プロの英語講師になるには、自分にはまだまだ英語の素養が足りないと思っていた(2015年の調査では、高校の英語教員の42.7%がTOEICスコア730点以下)。自分が教えるには、海外に行って、経験を積むべきである、と。
そこで、TOEICデータセンターで、テスト資料の管理や荷物の仕分けなどのアルバイトをしてお金を貯めた。そんな仕事でも、毎日TOEICの資料に触れていられるのが楽しかった。1年後、バンクーバーコミュニティカレッジに1年留学して英語教授法(TESOL)を学んだ。その後、大手英会話学校で教えながら、TOEIC満点を取得。現在は、TOEIC専門校のエッセンスイングリッシュスクールで主任講師を務めている。そのエッセンス校では、ネイティブの講師も含めほぼ毎回受験し、受験後も2~3時間ディスカッションして最新の傾向をつかみ、教材作成に反映させる。スクールの真摯な姿勢も加藤さんの性に合い、10年以上も教壇に立ち、今ではカリスマとまで呼ばれるようになった。