うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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NHKのうたのお兄さんを務めていた、だいすけお兄さんの(歌うはずだった)曲「あたし おかあさんだから」が、ネットを中心に大炎上しました。
歌詞をご存じない方のために、長いので意訳して紹介しますと「私は、子どもを産む前、頑張って痩せて、買い物してオシャレして、働いて、自分のことばかり考えていた。だけど、子どもを産んでからは生活が一変。自分のことは全部やめて、子どものことばっかりになった。外見は動きやすい服装を選び、爪は短くして、朝は早く5時に起きるし、嫌なことも我慢して頑張り、食事もテレビも子どもに合わせてる。素敵なお母さんになろうって努力してる。そういう生活してるけど、あなたに会えたから、お母さんになれてよかった!」という感じです。
言っていることは、わりと日本的な「子育てに奮闘するお母さん」に当てはまっていると思います。私だって、息子がいるから出かけるのが難しくなったし、かなりの時間を子どもに割くようになったことは事実です。ではなぜ、こんなに炎上してしまったのでしょうか。
個々による「この曲が嫌いな理由」は、ネットを探せば山ほど出てくると思います。例えば、この歌には、子どもを生む前に働いていたことに対して「立派に働けるって強がってた」という表現があります。この点はまさに、女性からしてみれば「誰が強がりで働くんだよ」「お金がないと生活できないから働くんだよ」と文句を言いたくなる部分でしょう。私も「強がって」「立派に」働くという言葉選びに、女性が軽視されていると感じました。
あと、そんなお母さんのとてつもない苦労を歌うのがお兄さんという点に違和感を覚えます。さらにそれを強めるのが、歌詞を書いた絵本作家、のぶみさんも男であるという点です。多分、これが「おれ おとうさんだから」という曲だったら、早起きしてご飯をつくるイクメン促進の歌で好評価だったのではないかと思います。産んだのは母親でも、父親の子どもでもあるわけですから、男なのに育児して偉いねというのも、そろそろ時代錯誤ですが。