「治療」をゆだねる以上、政治家という「医師」の誠実さや技量はもちろん気になる。

「やると言った治療をやらなかった」「主治医だった時代にうまく対処できなかった」という批判はそれなりにわかるが、政治家の誰かに処方箋(せん)を示してもらわなくてはならない以上、お互いに批判しあうだけでは十分な判断材料にはなり得ない。

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 参院選で投票先を選ぶとき、有権者はどの政策を重視するのか。

 朝日新聞社が6月4、5両日に行った参院選連続世論調査(電話)では「医療・年金などの社会保障」が53%で最多。報道各社が大きく報じてきた「安全保障関連法」17%、「憲法」10%をはるかに上回った。

「医療・年金などの社会保障」は数字に隠れた一人ひとりの事情がそれぞれ違う。けれども、これだけの数字が積み上がり、奥にある一つ一つの人生に想像を巡らせるとき、その重さに粛然とする。

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