そこで「GTR法」では、人工膜(GTR膜)で壁を作って、歯と失われた歯槽骨の間にスペースを確保します。膜でおおわれたスペースには歯肉は入り込めないので、歯槽骨が再生されます。

 一方、「エムドゲイン法」は、エムドゲインというドロリとしたゲル状のタンパク質を、露出した根表面と吸収されてしまった歯槽骨に塗ります。歯肉の再生が抑制されるだけでなく、エムドゲインのタンパク質が歯根部の細胞に働きかけ、歯槽骨が再生されるのです。

 GTR法もエムドゲイン法も、歯周組織の再生は手術を受けた直後から始まり、個人差はあるものの、半年以上経過すればエックス線写真で骨の再生を確認できます。

 再生した状態を維持するには、毎日のブラッシングなど患者さん自身のセルフ・ケアはもちろんのこと、歯科医師によるメインテナンスも不可欠です。

■GTR法とエムドゲイン法、どちらがいい?

 GTR法でもエムドゲイン法でも、期待できる効果や治療の条件はほぼ同じですが、GTR法のほうが技術的に難しく、効果が歯科医師の技量や経験に左右されやすいという面があります。主治医がどちらを得意としているのか、費用、その後の治療計画などについて説明を受けてください。(なお、エムドゲイン法は、大学病院を中心にした一部の医療機関では「バイオ・リジェネレーション法」という名称で、検査などに保険が認められる先進医療として実施しています。)

■再生治療ができない場合も

「歯周病になっても、今は骨の再生手術があるから大丈夫」と考えがちです。しかし、一般的に再生療法の対象となるのは中等度。重度で歯槽骨の吸収が進みすぎていれば、骨の再生はあまり期待できません。

 また、再生療法は歯科医院のイスの上でおこなうとはいえ、体を切る「手術」ですから、全身状態が悪い人は受けることができません。歯周病では、重度の糖尿病や心筋梗塞など持病を持っている人が多いのですが、持病を隠して手術をすると、出血が止まらないなど思わぬ事故につながります。きちんと持病を歯科医師に申告したうえで、治療方針を話し合ってください。なお、喫煙する人は、しない人に比べて歯槽骨が再生しにくいことがわかっています。

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