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歯を失う原因は、むし歯だと考えている人は多いでしょう。しかし日本人が歯を抜かなければならなくなる原因のトップは、歯周病です。日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会の共著として発刊した書籍『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)から、歯周病の治療法を紹介します。
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歯周外科治療は、「手術」のこと。目的によって次の3つに分けられます。
(1)フラップ手術=汚れの徹底清掃
(2)歯周組織再生療法=崩れた土台を作り直す工事
(3)歯周形成手術=見た目の改善を主目的に、外壁を修復する
「フラップ手術」は、スケーリングやルートプレーニングでとりきれなかった歯周ポケットの奥深くにあるプラークや歯石を、歯肉を切り開くことによってしっかりとり去ります。歯根表面をきれいにし、歯周ポケットを浅くするための治療です。
歯槽骨が吸収されてしまっている場合は、歯槽骨の再生を促す「歯周組織再生療法」が追加されます。
一方、「歯周形成手術」は、歯肉が下がって歯が長く見えるようになってしまった場合に、他の部分から歯肉を移植して形成し、見た目を良くする方法です。
■奥深くの汚れをきれいにする「フラップ手術」
歯周病の進行度にかかわらず、まずおこなわれる治療は、プラークや歯石の除去を中心とした歯周基本治療です。歯周基本治療をすれば歯と歯肉はくっつき、歯周ポケットを浅くすることができます。しかし、プラークや歯石が歯周ポケットの奥深くに入り込んでいて、外側からとりきれずに残ってしまうと、歯と歯肉はくっつきません。
そこで効果的なのが、「フラップ手術(歯肉剥離掻爬術(しにくはくりそうはじゅつ)」です。歯周基本治療をしても歯周ポケットが5ミリ以上残って歯石がとれていない場合は、フラップ手術を検討します。