局所麻酔をしたのち、歯に添って切開して歯肉を開き、歯根を露出させた状態にしてスケーリングやルートプレーニングをします。こうすれば、外側からでは器具が届かなかったプラークや歯石を根こそぎ取り去ることができます。その後、歯肉を元に戻して縫合します。
フラップ手術は徹底的に清掃ができる半面、治療後に歯肉が下がって、歯が長くなったように見えてしまうことがあります。とくに前歯は下がりやすいので、こうしたリスクについても十分説明してもらったうえで手術を受けるようにしてください。
■破壊された骨を再生させる「歯周組織再生療法」
歯周病の基本治療やフラップ手術で歯や根の面を掃除して、歯周病の原因細菌が潜んでいるプラークや歯石を除去することができれば、歯周病の進行はストップし、歯周組織の炎症は改善します。フラップ手術だけでも70%程度は回復が見込めます。
しかし、すでに歯槽骨が吸収されるなど歯周組織の破壊が骨にまでおよんでいる場合、原因を除去しても壊れた骨まで完全に回復することはできません。土台となる骨が心もとないので歯は安定しないし、抜歯をしなければならなくなることもあります。そこで壊れた土台を作り直す「歯周組織再生療法」が推奨される場合が多いのです。
■GTR法とエムドゲイン法
現在おもにおこなわれている歯周組織再生療法には、「GTR(Guided Tissue Regeneration)法」と「エムドゲイン法」という2つの方法があります。
フラップ手術で歯肉を開いて歯周ポケット内にあった歯石を取り去ると、歯と接する骨の部分は溶けてすき間が開いた状態になっていますが、歯周病の原因の汚れは除去されているので、ここには「歯肉」が再生されます。実は歯槽骨も再生はするのですが、歯肉の増殖スピードのほうが圧倒的に速いため、歯槽骨が再生される前に歯肉が再生されて歯槽骨があったはずのすき間を埋めてしまい、骨が再生されるスペースがなくなってしまうのです。