1年も主力としての成績を残せなかった選手は27人を数え、全体の3割以上にのぼっている。2008年の制度変更で年俸がCランクの選手は補償なしで獲得ができることになったことで、レギュラークラスではない選手が移籍するケースも増えてはいるが、そのような事情を考えてもFAで移籍した選手が活躍するケースは多いとはとても言えないだろう。
改めてFA移籍した選手の成績を振り返ってみたが、期待された効果が得られるケースの方が少ないということがよく分かる結果となった。長くチームを支えるような選手をFAで獲得できることはほとんどないというのが結論である。
高額な投資をして獲得した選手ということもあって出場機会を与えられた結果、成績を残せずに若手の抜擢が遅れるというケースも少なくない。かつての阪神や現在の巨人はそのような負のスパイラルに陥っていたと言える。あくまでFAは短期的な弱点を補うためのものとして考えるのが賢明なことは間違いないだろう。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。