今年のオフにフリーエージェント(以下FA)宣言をした選手は7人。野上亮磨投手(前西武)は巨人、増井浩俊投手(前日本ハム)はオリックス、大和内野手(前阪神)はDeNA、大野奨太捕手(前日本ハム)は中日にそれぞれ入団することが決まり、鶴岡慎也捕手(前ソフトバンク)は古巣の日本ハム入りが濃厚と言われている。そこで今回はFAで移籍した選手のその後の成績から、FAによる補強の効果について改めて検証してみたいと思う。
FA制度が導入されたのは1993年のオフからであり、前述した4選手を含めてこれまで国内の球団に移籍した選手は延べ人数で85人。2度にわたりFAで移籍したのは工藤公康(西武→ダイエー→巨人)、小笠原道大(日本ハム→巨人→中日)、相川亮二(横浜→ヤクルト→巨人)の3人がいる。
球団別に見ると最も獲得選手数が多いのが巨人で、今年の野上を含めて24人を数える。次いで2位がソフトバンク(ダイエー時代含む)の13人、3位が阪神の11人であり、いかに巨人がFAで選手を獲得してきたかが分かる数字となっている。ちなみに広島は内川聖一(横浜→ソフトバンク)がFA宣言した際に球団史上初めて獲得に名乗りを上げたが契約には至らず、近鉄(2004年に消滅)を含めた13球団で唯一FAでの選手獲得を行っていない。
ここからは昨年までに移籍した延べ81人についての成績について振り返ってみたいと思う。まず移籍1年目の成績を見てみると、前年に比べてアップした選手は18人、同程度の成績だった選手は20人、ダウンした選手は43人であり、半数以上の選手が成績を落としている結果となった。
山沖之彦(オリックス→阪神)と川崎憲次郎(ヤクルト→中日)のふたりは移籍1年目に登板なしに終わり、ともに1勝もマークできずに引退となっている。近年では昨年オフに移籍した山口俊(DeNA→巨人)がローテーションの一角として期待されながらわずか1勝に終わり、期待を裏切ることとなった。