医学を学ぶ場や働く場所は、世界に広がりつつある。週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』では、世界を股にかける「海軍大佐」の医師を取材。あまり知られていない海軍病院の実態と、海外の医学部に羽ばたくためのポイントをまとめた。
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日本では医師になるには、大学の医学部で6年間の教育を受け、医師国家試験合格後に2年間研修医として働く。これに対してアメリカは、4年制の大学を卒業後、4年制の専門職大学院であるメディカルスクールに進む。
日本では聞きなれない「検眼専門医」として世界各地で診療を行うジェフリー・ガルシア医師は、米カリフォルニア大学サンディエゴ校でpremedicine(医学予科学生)と心理学の学士号を取得したのち、Navy Health Professions Scholarship Programという奨学金を米海軍から得て、南カリフォルニアカレッジのoptometry school(検眼学校)に4年間通った。
■日本にはない専門領域や職環境で成功
日本では、眼鏡店には眼科医がいないし、コンタクトレンズ店の眼科医は眼の異常をチェックするだけ。一方、アメリカには検眼専門医がいて、眼を診たあと、視力測定を行い、眼鏡やコンタクトレンズの処方をする。緑内障や伝染病などの眼病の治療もできる。
ガルシア医師は、検眼学校を卒業後3年間、サンディエゴ海軍病院の眼科に勤務しており、米海軍大佐(キャプテン)の肩書も持つ。現在、カリフォルニア州に二つのクリニックを開いている。
「治療のかたわら、海軍の検眼医として毎年、サンディエゴ、ハワイ、横須賀、スペインの海軍病院で診療しています。また、海軍医療チームの一員としてメキシコ、エルサルバドル、グアテマラ、ペルー、タイ、アラスカなどで無料で検眼し、眼鏡をプレゼントする活動も行っています」
海軍病院は、軍関係者とその家族のための病院で、医師はアメリカ人だが、横須賀、沖縄の海軍病院では毎年、日本人の研修医も勤務できる。
「日本にいながらにしてアメリカの医療を体験できる病院」として、将来アメリカなど海外で働きたいと考えている医学生に人気だ。