最近の公務員試験は全般的に学力以上に「人物重視」。通常の面接だけでなくグループディスカッションなどが行われる傾向がある。

 その対策として実施しているのが、少人数制のゼミナールだ。ゼミは早くても3年からという大学が多いなか、日本文化大学では1、2年生で基礎ゼミ、3、4年生で専門ゼミを設けている。いずれも必修で、一方通行の講義だけでなく、グループディスカッション形式の授業が行われる。奥村氏は言う。

「公務員を志望する場合、他大学では公務員試験対策に専門学校などに通う学生も多いようですが、本学では授業の中で取り組むので、ダブルスクールの必要がありません。時間的にも費用の面でも学生の負担を軽減できていると思います」

 さまざまな取り組みを続けた結果、「警察官になりたいから」という理由で日本文化大学に進学してくる入学者が増えた。現在は入学者の約8割が公務員を志望し、その半分以上が警察官志望という。奥村氏はこう続ける。

「多くの学生が『目標が同じ』なので、ある種の一体感があり、いい意味での競争もあります。情報交換したり、励まし合ったりするなど、学生間の交流が盛んなことも本学の特徴です」

 また、すでに役所や警察で勤務している卒業生を呼び、現在の仕事のやりがいや、就職活動の体験談を在校生に語ってもらう場を頻繁に設けている。就職に向けたモチベーションを高めることが目的だが、同時に「本当にやりたい仕事なのか」「自分に合っているのか」を見つめ直す機会にもなっているという。

「親に言われたからとか、安定しているからといった理由で就職先を決めるのではなく、しっかり将来を考えてほしい」

 と奥村氏。

「一般に警察官は採用試験に合格しても、警察学校、あるいは配属された現場でギャップを感じて辞めてしまう人が少なくありません。しかし本学の卒業生は十分に仕事の内容を理解した上で強く志望して就職するので、ほとんど離職することがありません。職場でも高い評価を得ています」

(文・谷わこ)

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