お笑い芸人になるという夢を諦められない人が増えているらしい。その背景には大手芸能事務所が運営する「養成所」の存在も大きいと、カンニング竹山さんは考える。それでも限界はあるようで……
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養成所ができてから芸人の裾野が広がって、辞められない人が多くなりましたよね。でも売れる人数は大昔とそんなに変わってないから、実は競争がものすごく激しくなっただけなんです。40代で若手のライブ出てる人もたくさんいますし、もうそろそろ50代で「若手です」って言う人も出てきますよ。
社会の高年齢化が進んでいるように、実は若手の高年齢化が進んでいるんですよね。これまでは「30まで好きなことやらせてくれ」が常套句だったけど、今は40でもやっている人が結構多いから、10年延びて「40までは……」になってる。
でも僕は、その境目は35歳だと思うんですよ。なぜならそのころに番組の制作スタッフの年齢と並ぶから。「若手」を探しているとき、自分より年上の40代は見ないですよね。30後半でバリバリ仕事してる芸人はいるから、そのへんは見つかっちゃってる。次の若手を見つけようとすると、20代後半になる。だから、普通は35歳を超えちゃうとなかなか難しくなってくるんですよね。よっぽど奇をてらったことやらない限りは。
養成所っていう学校がスタートだと、若手がおかしなことなっちゃってるんですよ。学校によっては専門学校という扱いになっているところもあって、学費が年間60万円ぐらいかかるところもある。でも、卒業後にプロダクションに入れるかは別問題。多くの人は「うちには入れませんよ」と決断が下されるときが来るわけですが、親が怒鳴り込んでくるというトラブルがここ10年ぐらいで増えているらしい。「お金払ったんだから、うちの子は芸人になれるでしょ」みたいな……。
学校に入ったほうも、「何でこんなことやんなきゃいけないんですか、早くテレビ出してくださいよ」って言ったりとか。僕は直接関わってないけど講師をしている人に聞くと、ネタ見せした後のダメ出しにえらい反発してくるとか、インターネットとかSNSでいろいろ書き込んじゃうとか、そういう問題もあるみたい。特に芸能とか芸人の場合は、誰しも自分は天才だと思って入ってきますからね。