●政権浮揚の3本の矢は「原発」「武器」「カジノ」

 以上のとおり、本予算も補正予算もバラマキのオンパレードになることは必至。結局、黒田日銀総裁の円のバラマキで円安を維持し、日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式購入で株価を支える第1の矢「異次元の金融緩和」と上述した予算(公共事業)バラマキという第2の矢「機動的財政運営」だけがアベノミクスの実態である状況は不変ということだろう。

 そんな中で、安倍政権が成長戦略として期待するのが、「原発」「武器」「カジノ」という3本の矢だ。

 原発については、先進国で唯一「原発は安い」という神話を維持する安倍政権は、その推進の中心的役割を担う世耕弘成経産相を留任させた。東芝の米子会社ウェスチングハウス社の経営破たんにより、コスト増から採算が取れないとの理由で米電力会社が2基の原発建設を断念したと伝えられる中、今もなお神話にすがり付く世耕氏は、安倍政権の「守旧性」の象徴となりつつある。それでも、原発再稼働を進め、核燃料サイクルを死守し、すきを見て原発「新増設」を明文化するチャンスをうかがう。最近の世耕経産相には、ぴったりの役どころということだろうか。

 武器輸出も大型商談は失敗続きだが、安倍政権に諦める兆しは微塵も見られない。素材や部品などでは汎用品で武器製造に貢献できる企業はたくさんあるが、安倍政権は、潜水艦、戦車、飛行機など、「目に見える」大型兵器の輸出に熱心なようだ。おかしな国威発揚の姿勢は国の行く末を過つ転換点に来ている。

 武器輸出だけではなく、米国からはこれまでのF35やオスプレイなどにとどまらず、THAAD(高高度迎撃ミサイル)などのミサイル迎撃関連の装備をはじめ、巨額の商談につながる提言(自民党安全保障調査会)が出されている。同提言には、敵基地攻撃能力を備えよとか自主防衛能力を高めよとも書かれており、米国からの武器輸入だけでなく日本企業による大型武器開発など、国内武器産業の利権拡大の動きも活発だ。

 こうした防衛利権の拡大には、小野寺五典防衛相が当たる。小野寺氏は、一見ひ弱で優しそうな印象を与えるので、安倍政権の強面防衛政策のイメージ転換の役割を期待されているが、実際には、上述の自民党安保調査会の提言のとりまとめに大きな役割を果たすなど、完全な防衛族議員である。18年には防衛大綱見直しもあり、さらなる利権拡大にひた走るのは確実だ。

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