
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旅行などのプライベートでも、接待のような仕事のシーンでも、お店を選ぶ際「寿司」を選択する人は多いだろう。京都で「寿司」といったとき、どのようなお店を選んだらいいか、『できる人の「京都」術』の著者のある柏井壽氏に、たずねてみた。
■「いづ重」で京寿司を愛でて食べる
京都で寿司を食べるなら、おすすめは、なんといっても祇園石段下にあって、誠実な商いを続けてきた「いづ重」です。たどってきた歴史そのままを寿司という形で表現する、京都になくてはならない「京寿司」のお店です。
作ってから時間を置いて食べる「熟れ寿司(なれずし)」を発祥とする関西の寿司は、「早寿司」という形で「江戸前握り」を考案した江戸(東京)と異なります。
「熟れ寿司」は、ネタと酢飯を合わせ、熟成させることで旨みを引き出す寿司です。箱寿司、棒寿司、巻寿司などの種類があり、江戸前握りに比べて酢飯の占める割合が多く、食べ応えがあります。
「いづ重」では、お店で食べる客と、持ち帰りの客はおおむね半々くらい。お店で食べるなら「鯖寿司」と「巻寿司」の盛り合わせ、「鯖巻」がおすすめです。京寿司の真髄が味わえます。お持ち帰りなら、断然「上箱寿司」です。海老、鯛、玉子、穴子などのネタが市松模様に並べられ、見て美しく食べて美味しい。はんなりした味わいがいかにも京都、という感じでおすすめです。
■「末廣」で京ならではの蒸し寿司を食べる
京都の街なかにある、たいていの寿司屋はなんでもこなします。「握り」はもちろん、「押し寿司」「棒寿司」「巻き寿司」「いなり寿司」「ちらし寿司」などなど。
そして、お店で食べるというより、どちらかと言えば持ち帰り、出前がメインとなります。京都の各家は、それぞれにそんな寿司屋を必ず一軒は持ち札にし、来客時や慶事などに出前を依頼していたりします。
うちの贔屓は、生家が河原町荒神口にあったこともあり、寺町二条近くの「末廣」です。店のたたずまいも、寿司そのものも京都らしい寿司屋の右代表です。