ここでは事件の内容には立ち入らないが、警察関係者にいろいろ取材しても、こんなことは異例中の異例。

「これは、安倍総理の意向ではないのか」「明らかにおかしい」という話ばかりが聞こえてくる。

 とりわけ、この当時の刑事部長が、前出の報道ステーション放送中にテレビ朝日に圧力をかけた中村格氏だったというのは、いかにも官邸の意向で動いたということを想像させる。

 安倍総理と菅官房長官には、是非、詩織さんの記者会見を見てほしい。

 そして、事の真相を徹底究明してほしい。

 そう願っている人がほとんどではないだろうか。

 私は、いつも、感情的にものを書くべきではないと思っている。自分のことを書くときも、いつもクールに書くことができる。そういう訓練は十分にできているつもりだ。

 しかし、今、詩織さんのことを考えると、どうしても「怒り」の気持ちを抑えることが難しい。詩織さんだけではない、これまで、声を上げることさえできなかった無数の性犯罪の犠牲者の気持ちを考えれば、怒りを抑えられるほうがおかしいのではないかとさえ思う。

 安倍総理に是非お願いしたい。

 必ずこの事件の真相を解明してください。

 もし、真実を覆い隠し、数の暴力で女性の人権をないがしろにするなら、そして、彼女たちの心の傷をさらに広げるような行いをするなら、きっと、相応の報いを受けることになると思います。

 安倍総理が、女性の敵でないことを切に願っています。(文/古賀茂明

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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