結腸がんと直腸がんで5年生存率に大きな差はないが、III期の場合、結腸がんは86.2%なのに対し、直腸がんは82%でやや下がる。これは直腸が骨盤に囲まれていて、がんの進展が結腸がんに比べ複雑で、手術の難度が高いことが影響していると考えられる。難度が高くなることによって切除しきれずにがんを取り残す可能性が結腸がんよりも高くなる。その証拠に直腸がんは結腸がんよりも、がんがあった周辺に再発(局所再発)する割合が多い傾向があり、直腸がんのうち約10%に局所再発が起こる。

 大腸がんの生存率の高さは、再発率の低さとも関係する。粘膜内にとどまっているがんであれば再発は起こらず、粘膜下層まで浸潤したがんだと再発率は約1%、固有筋層まで浸潤した場合でも約6%、II期では約13%、III期でも約30%だ。

 さらにたとえ再発、転移した場合でも手術によってがんを取りきれる可能性があることも大腸がんの大きな特徴だ。ほかのがんの場合、再発すると一般的には根治を目的とした手術をするのは難しく、薬物治療や放射線治療が中心となる。

 都立駒込病院で大腸外科部長を務める高橋慶一医師は次のように話す。

「大腸がんは肝臓と肺に再発する割合が高いのですが、これらの臓器に限局していて広がりにくいため、手術で完全に切除できれば治る可能性が高いのです」

(取材・文/中寺暁子)

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