〈「セカンド・パートナーは、異性の友達とは違います。遠い将来、互いの配偶者それぞれが離死別して私たちが残ったならば、その時は一緒になろうと約束していますから。でも、男女の関係は誓って持っていません。それだと、ただの不倫と変わりませんもの」〉(「dot.」2015年7月20日付)
ニュースサイト「dot.」は、男女関係ナシ、でも深く結びつく既婚者同士のカップルたち、〈セカンド・パートナー〉の実態を特集した。当時、大勢の読者から「W不倫を推奨するのか」という批判、そしてごくわずかながらも「自分たちの関係は〈セカンド・パートナー〉というものだったのか」と納得したという熱い賛同、2つの声が寄せられた。
この“セカパ”の実態を赤裸々に綴った初のルポ、『友達以上、不倫未満』(朝日新書)が4月13日に刊行された。「dot.」で初めて記事にするまで5年、それからさらに約2年の月日を費やし、合計7年間で100人以上の“セカパ”たちを取材してみえてきたものとは……。著者でフリージャーナリストの秋山謙一郎氏に、“セカパ”たちのリアルを聞いた。
●なぜ不倫ではなく“セカパ”を彼らは選ぶのか?
――いまどきの既婚同士の男女交際、なぜ不倫ではなく、セカパなんですか?
秋山謙一郎さん(以下、秋山)「今、社会全体のモラルが成熟しています。だから不倫はご法度。でも、家庭の外に親しい異性の存在を持ちたい――そんな時代性とニーズの最大公約数として浮かび上がったのが、このセカパという関係です」
――でも、既婚者同士の関係です。やはり不倫ではないですか?
秋山「セカパを持つ人たちは、『法的には、何が不倫か?』を意識するのです。法的には、不倫は『性交渉の有無』が問われます。なので男女の一線、それさえ超えなければ不倫ではない、ゆえにモラル面でも何も言われる筋合いはない――そういう考え方をするのです。この法、つまりルールという枷(かせ)が、かえって互いを深く結びつける役割をはたす側面がありますね」
――いくら法の範疇とはいえ、もし配偶者に親しい存在の異性がいるとヤキモキする人のほうが多いと思いますが……
秋山「そこは巧妙な手口で対策していますね。たとえば、『血の繋がりのない年下だけど姉のような存在』『とてもお世話になっている人』という枕ことばをつけてセカパを配偶者に紹介、それで安心させるのです。そして自然な形で家族ぐるみでつきあい、いつしか配偶者からの“公認”をもらうという形を取ります。そうして配偶者の“心配の種”を潰していく――」
●なぜ“セカパ”は、その関係が長く続くのか?