初の開幕投手を務めるダルビッシュ。故障前を上回る活躍を見せることができるか。(写真:Getty Images)
初の開幕投手を務めるダルビッシュ。故障前を上回る活躍を見せることができるか。(写真:Getty Images)
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 MLB開幕を前に、アメリカ国内の主要媒体がそれぞれ展望記事を掲載している。その中で、老舗スポーツ・イラストレイテッド誌のアルバート・チェン記者は、ア・リーグのサイ・ヤング賞はダルビッシュ有が獲得すると予想していた。

「7つの球種を持つダルビッシュが戻って来て、ア・リーグで最も魅惑的なピッチャーはテキサスにいると思い出させてくれる。2015年は全休し、昨季も前半戦の大半を休んだ投手からは故障の懸念は消えない。しかし、ダルビッシュは(14年も)144イニングで182三振を奪っていた。最も注目すべきは、昨季復帰以降の平均球速は93.3マイルと、メジャー入り以降ではベストの数字を記録していたことだ」

 そんな寸評を読めば、チェン氏が故障から復帰2年目を迎える日本人右腕の今季を心から楽しみにしていることが伝わって来る。

 ダルビッシュを高く評価しているのはこの記者だけではない。Foxスポーツ、ESPN.comといった大手メディアもダルビッシュをサイ・ヤング賞候補に含めていた。トミー・ジョン手術で長期間を棒に振りながら、期待感は変わらない。何より、そのことがこの投手の稀有な才能と魅力を物語っているに違いない。

 現地4月3日に行われるインディアンス戦で初の開幕投手に指名されたことも、所属するレンジャーズ首脳陣の自信の表れか。本当に多くのメディア、関係者が、17年こそがダルビッシュ完全開花のシーズンになると期待を寄せているのである。ただ……その一方で、30歳を迎えた本格派右腕にとって、今季はもう後がない勝負の年であるという考え方もできるのだろう。

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