さらに、週末しか乗らないマイカーを手放して、遠出するときはレンタカーやカーシェアリングを利用するようにしました。

 気をつけたいのは、家計の見直しは生活スタイルを変えることになるので、夫婦だけでなく家族で話し合うことが大事です。たとえば「教育費」は、親が習わせたいと思っていても子どもはそれほど熱心ではないなどと、親子間で“温度差”があります。この一家でも、親子でよく話し合ってもらった結果、ピアノ教室と通信教育をいったん休むことにしました。お小遣いもお父さんだけでなく、家族全員分を減らすように、家族全員での協力が必要です。

 黒字家計を続けるために家計簿をつける習慣をもつことも重要です。

■リタイア後は孫支出よりも介護を見据えて貯金を

 年金生活に入ったときも、家計の考え方は同じです。

 総務省の家計調査「高齢夫婦無職世帯の日常生活費」によりますと、消費支出の総額は夫婦2人で、1カ月24万3864円という数字が出ています。住宅ローンが完済していれば住居費がなくなり、子どもたちが独立すれば食費や水道光熱費が少なくなるので、現役時代よりもコストカットできます。

 一方で、高齢夫婦が受け取れる年金などの実収入は、同調査によると2人で約21万円なので、生活費を縮減し、毎月の赤字を最小限に抑えられれば、3000万円の貯金がなくても生活できます。

 定年後に住宅ローンや教育費がかからなくなった分、子どもたちと2世帯住宅を建てたり、孫のためにお金を使ったりという人が意外に多いものです。こういった人には、「将来、介護が必要になったときのお金を残しておくことを忘れないで」と注意をうながしています。(構成/村田くみ)

※週刊朝日MOOK「定年後のお金と暮らし2017」より