今季16勝の岩隈久志(マリナーズ)は同一チームで5年間の実績があるだけに、出場を希望すれば球団が認める可能性は高そうだ。第2回大会ではMVP級の活躍を見せている。レッドソックスからマーリンズに移籍したばかりの田沢純一は、大リーガーでは貴重な救援タイプ。侍ジャパンのニーズは高いが、新天地になじむ必要性は上原と同様なだけに、微妙な情勢か。
岩隈らの出場可否次第で、国内組の投手は増減する。特に、秋吉亮(ヤクルト)や増井浩俊(日本ハム)はいるものの、上原不在となっただけに抑え投手が注目される。それぞれに一長一短はあるが松井裕樹(楽天)、山崎康晃(DeNA)、沢村拓一(巨人)が候補となる。中継ぎタイプでは、左の岡田俊哉(中日)は強化試合で好アピールした。先発、第2先発では、大野雄大(中日)、西勇輝(オリックス)、藤浪晋太郎(阪神)、武田翔太(ソフトバンク)は小久保ジャパンでの招集経験が多く、有力候補となる。
これまでは多めに候補を選出し、合宿で絞り込むという選考方法だった。今回のように一部選手を先行発表するのは、初の試み。前回大会で、ボールの違いに四苦八苦する国内組が出たため、当確組はWBC仕様のボールに慣れる時間を多めに取れるメリットがある。合宿後になって落選という、「かわいそうな選手」も生まれない。また、大リーグの所属選手に限って随時発表という形は、できるだけ多く入れたいという意図が透ける。ただし、候補入りが微妙な国内選手にとっては、年明けになってから急にWBC仕様球への対応が要求される。微妙組には若い選手が多いだけに、メンタル面への影響も心配されそうだ。(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)