ゴールデンウイークを過ぎると、日本中で山車(だし)や神輿(みこし)が繰り出すお祭りの季節を迎える。東京でも先月三社祭が行われた。東京には歴史ある大きなお祭りがいくつかあるが「神輿(みこし)深川、山車(だし)神田、だだっ広いが山王さま」と言われてきたように、神田明神の神田祭、日枝神社の山王祭、富岡八幡宮の深川祭は、規模も大きく江戸時代から人気があったようだ。
この3つのお祭りのうち、山王祭は、神田明神と交代で2年に一度大祭が行われている。かつてはどちらも毎年開催だったのだが、神社も近く氏子も重なる地域もあり、毎年2つの大祭を支えるのが費用的にも大変だったので、1年交代という現在の形になったのだとか。
2016年は神田明神も富岡八幡も陰祭り(本祭りでない年に行われる小規模なもの。富岡八幡の本祭りは3年に1度)の年にあたるため、神幸祭と呼ばれる大祭が催行されるのは日枝神社だけとなる。日枝神社といえば、猿が神のお遣いとして祭られている社、申(さる)年の2016年は最も注目すべき神社だ。
●王朝絵巻さながらの300メートルの祭礼行列が都心を巡回
日枝神社は、太田道灌(室町時代後期の武将)が江戸城の守護として城内に遷座してきた神さまである。江戸時代になり、現在の場所へと移されるが、江戸城の裏鬼門(南西方向)の守護として徳川幕府からも手厚い庇護を受けた。
そんな日枝神社の山王祭のなかでもひときわ華やかなのが、王朝絵巻さながらの衣装をまとい、神輿や山車と巡幸する神幸祭の行列だ。ことしは本日、6月10日に行われる。