2月某日の土曜日。フィリピンパブ「X(仮名)」のドアを開けると、紫煙で白く曇る薄暗い照明のなかで、マイクロミニを履く肉感的なフィリピン人女性とカラオケに興じる中年男性の姿があった。店内にはきつい香水の匂いが鼻をつく。

 40代後半とみられるホステスが、たどたどしい日本語で話しかけてきた。

「いらっしゃいませ。初めてか? そこに座ってね。待っててね。すぐ来るからね」

 甘ったるい香水の残り香にむせびつつ席につくこと10分、ようやく店のシステムについて説明された。

「初めての方は前金で2000円。今、払って! それからシステムについて説明するね!」

 なぜか、さきほどとは異なり、流暢な日本語でぶっきら棒に話す。言われるがままに2000円を支払うと、ホステスは打って変わって、ニッコリとほほ笑んでシステムについて説明する。

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