北海道の披露宴は会費制、東海地方は“派手婚”が多く、富山の引き出物は特大かまぼこと、披露宴の形式や引き出物などは、地方によってかなりの違いがある。地元では当たり前の風景でも、場所が変われば奇行に見えることも?! 驚いたり驚かせたりしないためにも、各地の変わった風習を押さえておきたい。
すぐ婚naviウエディングレポートが、全国の3552人を対象にエリアによる結婚式の違いを調査、披露宴や引き出物のバリエーションの多さに、担当者も「想定以上」と唸るほどの結果となった。
「花嫁が早くその土地に腰を据えられるように、と地域のお地蔵さまを担いで持ち寄る風習があります。先月行われた結婚式では出し物としてお地蔵さまを1体だけお借りしてお化粧をし、『生き地蔵』がそれを持って神輿に担がれるなどしました」
山口県在住の回答者からは、こんな驚きの情報が寄せられた。調べてみたところ、このお地蔵さまは式後、新婚夫婦などの手により、地域に返されるという。一体だけでなく、多くのお地蔵さまが持ち寄られた場合は、元の場所が分からなくなってしまうこともあるそうだ。祝いの席だからとひと肌脱いだお地蔵さまにとっても、困った事態である。
また、調査結果では出ていないが、新潟県のある地区では、結婚したお婿さんを雪の中に投げ飛ばし、参加者同士でお互いの顔に墨を塗りあう“奇習”もあるという。
披露宴の演出にも地方色が。長野県では「披露宴のお開き前に万歳三唱」とまじめで実直な県民性が、披露宴の招待客は200~300人が当たり前、数時間に渡って繰り広げられるという沖縄では、「大きな舞台で余興を盛大にやり、最後はカチャーシー(沖縄の踊り)で締め!笑」「余興がすごい、『かぎやで風』という琉球舞踊は必須」といったように、にぎやかで陽気な県民性がうかがえる。
すぐ婚navi担当者が注目したのは広島県。新郎新婦が切り分けたウェディングケーキを食べさせあうファーストバイトを、広島県の場合はフォークでなく、「お好み焼きのヘラ」や「宮島のでっかいしゃもじ」を使用するというのだ。ここまで来ると、郷土愛というよりもネタなのではないかとさえ思えてくる。
他に納得がいったのは、香川県の「披露宴でうどんが出る」や、長野県の「披露宴で締めにそばが出る」。他県の人間としては「そうでなくちゃ!」とコメントしたくなるような演出だ。
ちなみにゲスト1人あたりの費用は、関東、東海、関西とも3万5000~3万6000円台と地域によってほとんど差が出なかった。お金をかけた項目も、いずれの地域でも「料理」という回答が最も多く、6割以上を占めている。
それにしても、日本の地方は奥が深い。初めて見る人はぎょっとしてしまいそうな風習も、地域にとってはきずなを感じさせる、温かい習わしなのだろう。せっかくのお祝い事、参加する際は、驚きを胸に隠しつつ、地域の一員になったつもりで特色を楽しみたいものだ。
(ライター・南文枝)