■9月1日問題が、4月の新学期に起こるリスクも

 9月1日問題をご存知の方も多いでしょう。最近、小中学校で注目されている、夏休み明けに子どもの自殺が増える問題です。高校生にもそのリスクはあります。

 何らかの要因でエネルギーが低下している子どもにとっては、長期の休みの後、再び登校するのは、かなり大きなハードルになることがあるのです。

 今回、コロナウイルスの影響で、思いがけず夏休みに匹敵する長期休暇に入った子どもには、このリスクがより高まっていると思います。通常の夏休みではなく、イレギュラーな長期休暇であることに加えて、コロナ・ストレスの影響でエネルギーが低下している子どもが増えていると思われるからです。

 子どもを支える様々な支援組織を含め、社会全体があまりそのことに意識が向いていないように思います。

 親御さんや学校の先生は、注意して子どもをよく観察して欲しいと思います。もし、新学期のはじめに子どもが登校できなくても、親が動揺しないことが大事です。

 ただ、夏休み明けに学校に行けないのと、新しい学年に進学した当初からいけないのでは、ダメージも違うので、数日の不登校でも、学校の先生と、より良く連携して欲しいと思います。

■「任務解除ミーティング」で家族の不安を軽減する

 このリスクを避けるためにも、親はふだん以上に子どもを観察し、子どもの言葉を聞くことが大切になってきます。そのために有効なのが、自衛隊で行っていた「任務解除ミーティング」です。

 自衛隊では、災害派遣などの緊張度の高いときは「任務解除ミーティング」という会合を実施しています。一日の終わりに、各人がその日何をやったかを報告したり、感想を述べあったりするものです。お互いの不安や疲れ、イライラや疑心暗鬼を予防するには、とても効果がありました。

 同じように、毎日、家族の活動をお互いに報告する機会を持つのです。夕飯の時間や、朝ごはんの時間に、そんな会話の時間を意識して設けることを試して欲しいと思います。

 毎日が難しければ、週に2、3日でも、週末だけでも構いません。お互いの気持ちを言葉にして、受け止め合うことが、家族の不安とストレスの増大を防いでくれるはずです。

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