選抜中止が決まり、泣き崩れる長崎・創成館の選手 (c)朝日新聞社
選抜中止が決まり、泣き崩れる長崎・創成館の選手 (c)朝日新聞社
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 苦渋の決断だった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月11日、日本高校野球連盟と毎日新聞社は、19日に開幕予定だった第92回選抜高校野球大会の中止を決めた。太平洋戦争の影響で1942~46年に中断した以外で、大会中止となるのは今回が初めて。

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 この決断はやむを得ないだろう。無観客試合でも全国から選手たちが集まり、集団感染のリスクが伴う。

 4日、無観客での開催に向けた準備を進めると発表していた。だが、1週間で方針を転換した背景には、他のスポーツイベントも開催中止・延期を決断しているなか、高校野球だけ「特別扱い」することは国民の理解を得られないという考えもあったのだろう。

 ただ、甲子園でのプレーを夢見ていた球児たちにとっては残酷な決断だ。やりきれない思いで涙を流す姿を見ると心が痛む。今回出場する予定だった32校のうち、初出場は白樺学園(北海道)、加藤学園(静岡)、鹿児島城西(鹿児島)、21世紀枠で選出された帯広農(北海道)、平田(島根)の5校。そのうち、加藤学園、鹿児島城西、平田は春夏通じて初出場だった。出場が決まった際は町ぐるみで歓喜に包まれただけに、選手や学校だけでなく地元の人たちの間でも落胆が広がっている。

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