私は、是非、中学校の先生方にもコンピュータ等を積極的に活用してもらいたいと思っている。長く続く中学校の教員文化を一掃し、高校入試のための教科指導から、次世代を生き抜く生徒の資質能力を育成する指導方針に舵取りを切り替えていく必要があるだろう。
これからの教育に必須の情報活用能力を教員自身も高める意識で、生徒と一緒に取り組んで欲しい。指導はできなくとも、生徒と一緒に学ぶ教師の姿を見せるべきではないだろうか。学年経営という中学校教員の強みを生かし、総合の時間に情報教育に取り組むべきだと考える。中学校に一人一台端末が配備された際に「税金の無駄遣い」という言葉は聞きたくない。
今こそ、中学校文化をスクラップ&ビルドする機会だと思う。これが、私が2年間、全国の小学校教員研修に携わって見えてきた課題であり、今後取り組まなくてはならないものだと思う。
中学校教員の方には耳が痛いかもしれないが、過去に囚われず、生徒の未来のためにまずは自分自身の意識と未来像を変えていただきたい。
さて最後に私自身の今後である。
「みんなのコード」がこれから行おうとしている中学・高等学校への教育支援は、私の40年間の小学校教員としての知見が生かされるかが悩みどころで、現場からのリタイアも考えた。が、ここまできたら怖いものはそう多くはないし、失うものもない。
人生100年時代、生涯学び続ける観点から、未知の中学校教育にアプローチしていくことを決めた。
実は私は、「みんなのコード」の仕事と並行して、ある自治体の巡回心理士として、発達障害児や多様な特性のある児童への支援を行っている。もともと、「多様な特性のある子どもたちを救いたい」という思いはずっとあり、大学では言語障害児教育の専攻課程を取り、教員になってからは、知的障害養護学校の管理職もやっていて、この分野にはずっと関心を持ち続けていた。そこで、「学校心理士」の資格を退職の前年度に取得したのだ。