61歳で公立小学校の校長を定年退職した福田晴一さんが「新入社員」として入社したのはIT業界だった! 転職のキーワードは「プログラミング教育」。全国を教員研修で回っているうちに、間もなく64歳となる。円滑導入を目的とした全国各地での小学校教員の研修も一区切りつく今、本連載最終回となる今回は、今後の教育課題や福田さん自身の今後についてご紹介する。
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学校現場は、新型コロナウィルス対応で混乱の中、新学期が始まろうとしている。そしていよいよ小学校プログラミング教育の全面実施を迎える。
この2年間、教員養成研修で訪問した自治体は、北は青森から南は宮崎まで30を超える。正確な数は不明だが、研修会に参加された先生は1000人に及ぶだろう。また、現場の先生方だけでなく、校長や副校長対象の管理職研修会やPTA会長対象の研修会、一般企業人の自主勉強会なども複数回開催してきた。
振り返ると、いろいろな顔が浮かんでくる。
日頃は学校マネジメントで多忙な校長先生が童心に帰ったようにプログラミングに取り組む姿、研修に参加して「学び」に花が開き、「プログラミング教育イノベーター」として知られるようになった先生、島根県益田市の全校児童14名の小学校では、自然あふれる環境の中で子どもたちは一人一台のタブレットを操り、デジタルとアナログが共有することで生まれる逞しさを痛感させられた。
さて、小学校でのプログラミング教育導入の見通しがたった今、これから我々は何をしていくべきか。
もちろん、実際に導入された後でもいろいろ問題が起こってくるわけだから、そのサポートはし続けなければならないだろう。
さらには、子どもたちが次に身を置く中学校、高等学校のプログラミング教育を中心とした情報教育はどうなっているのかも考えるべきだろう。
中学校学習指導要領では、プログラミング教育は、技術家庭科の技術分野で取り扱われることになっている。これは何を意味するかというと、技術科の教員以外は関与しないことになる。ましてや、校長等の管理職が技術分野でなければ、プログラミングは担当教員にお任せとなり、保護者とて高校の入試科目でもないので意識は低くなりがちだ。