高齢者に幸せになってほしいという気持ちは医師や理学療法士など、どの専門職も同じだと思います。しかし介護職が一番、感謝の言葉を言われるチャンスが多いと感じています。

 22歳の時にスカウトを受け、公共の電波を使って情報発信ができると思いモデルの仕事を始めました。介護は多くの人にとっては自分ごとではないですし、かなり遠いところにあるものです。モデルという切り口なら見てくれる人も増えるかもしれない。私のインスタグラムは介護の内容がほとんどですが、フォロワーの半分は介護職ではない人です。介護に興味のない層が少しでも興味を持ってもらえるといいなと思って活動しています。

 ただ、介護職を増やしたいというメッセージはありません。それよりも、介護のある人生のほうが豊かだ、ということを知ってほしい。

 100歳のおばあちゃんに、「100年生きた中でいまが一番幸せだよ」と言われたことがありました。不自由な生活を見ていた私は「どうして?」と聞いてしまったのですが、おばあちゃんはこう言って笑いました。

「この100年たくさんつらいこともあったけどね、つらかった思い出は全部いい思い出になるんだよ。今までの良かった思い出は、もっともっといい思い出になるんだよ。あなたも100歳になったらきっとわかるわ」

 今どんなにつらく苦しいことがあっても、100歳まで生きればそれがいい思い出に変わるときがくる。そしてそれを証明してくれるおばあちゃんたちがいる。だからこそ、高齢者が生き生きとしている姿は若い人の生きる希望になるのではないかと思い、発信を続けています。

【プロフィール】
かみじょう・ゆりな/1989年生まれ。介護福祉士・モデル。白梅学園大学非常勤講師。東京大学政策ビジョン研究センター研究協力者。