新型コロナウイルスの世界的な流行はスポーツ界のほぼすべての活動を停滞させている。メジャーリーグも例外ではなく、すでに予定された開幕は延期され、新たな開始時期もおぼろげにしか見通せない状況だ。今季からメジャー移籍した筒香嘉智(レイズ)、秋山翔吾(レッズ)、山口俊(ブルージェイズ)ら3人も気が気ではない日々だろう。
彼らのメジャー1年目がどうなるかは、翌年以降の日本人選手のメジャー挑戦にも影響を及ぼす。特に予定通りならば今オフにポスティングシステムで、もしくは来オフに海外フリーエージェント権でのメジャー移籍も噂されている山田哲人(ヤクルト)への評価は、同じ打者である筒香と秋山の結果で左右される可能性がある。
実際、パワーヒッタータイプの筒香がレイズと2年総額1200万ドルで契約できたのは、大谷翔平(エンゼルス)が限られた出場機会ながらしっかりと長打力を発揮し、日本のトップクラスの打者ならばメジャーでもパワー負けしないと示してくれたのと無関係ではないだろう。
日本では文句なしのスラッガーだった松井秀喜(元ヤンキースほか)がメジャー移籍後は30ホーマー以上を打てたシーズンが1回しかなく、彼以降は大谷の登場まで福留孝介(現阪神、元カブスほか)や岩村明憲(元レイズほか)ら日本ではホームランを量産していた打者たちがことごとく苦戦を強いられていた。その結果、メジャーで大成する日本人打者はイチロー(元マリナーズほか)のようなヒットメーカータイプだというのが日米の有識者やファンたちの共通認識となっていたからだ。
先達が与えるイメージが後発に影響するというのは日本人選手に限った話ではない。韓国人選手もメジャーリーグで打者としてプレーしたのは秋信守(レンジャーズ)のみという時期が長く続いたが、秋がメジャーデビューしてから10年後の2015年にパイレーツへ移籍した姜正浩が1年目に126試合の出場で打率.287、15本塁打、58打点の好成績を残すと、翌2016年には李大浩(元マリナーズ)、金賢洙(元オリオールズなど)、朴炳鎬(元ツインズ)の3人が一気にメジャー移籍を果たしている。