発達障害は不登校の原因になりやすい。特に思春期ともなれば、当事者の抱える困難は増す。アエラのアンケートにも、さまざまな実体験ときっかけが寄せられた。AERA2020年4月13日号から。
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新型コロナウイルス感染拡大による一斉休校は、不登校の子どもたちにも影響を与えていた。
都内に住む男児(11)は今春、小学6年生になる。5歳になる少し前、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の併発と診断された。
低学年の頃は、「集中できるように」と間仕切りに囲まれた机で授業を受けたり、心が落ち着かない時に保健室で過ごしたりと、学校の配慮があった。
だが、一般に10歳を超え思春期に差し掛かると、周りの子が気になりだす。「なぜお前だけ特別扱いなの?」と級友がいぶかるようになった。いじめを受けたこともある。小4の後半から徐々に学校に行けなくなった。母親(50)は言う。
「発達障害の子はデコボコがあるから、学校の提出物を出すこと一つでも、苦手なことは『ウッ』となっちゃう。高学年は学校からの課題も増える。うまく振る舞おうと無理をする。級友とのギャップも広がる。だから、余計にしんどいんですよね」
小5になった時、息子に母親はこう持ちかけた。
「あなたには教育を受ける権利がある。みんなが学んでいる平日は、学校に行かなくてもいいから、勉強はしよう」
決めた量の勉強を終えれば、大好きなゲームをしてよいことにした。
ところが、今年3月頭から都内の学校が一斉休校になると、「皆も学校に行かないんだ。じゃあ、朝起きなくても問題ないよね?」と、夜ふかしするようになった。昼夜逆転に陥り、日中は気力が湧かない日も増えた。時々、抑うつ的な傾向もある。
「最近、『僕、ひきこもりニートになりたい』と言い始めていて……。親として今最大の課題はひきこもりにしないことです」
文部科学省の統計によると、2018年度の小中学校における不登校児童生徒数は、約16万5千人。学年別で見ると小5から1万人を超え、中3が最多の約4万5千人にのぼる。