ドメスティック・バイオレンス(DV)の増加も懸念されている。DV対策に取り組む全国女性シェルターネットは3月30日、国に要望書を提出し、相談・支援体制の拡充や新型コロナ対策期間中の市区町村などにおける一時保護を要望した。

 心療内科医で日本医科大学特任教授の海原純子医師はこう話す。

「行き場のないうっぷんが家族に向かうケースもあり、DVはいま、最も懸念していることのひとつです。人間はネガティブな部分に注目しやすく、ひとつイヤなところを見つけるとすべてが悪く見えがち。外出するか、どの程度消毒を徹底するかなど、普段は問題にならない考え方の違いも浮き彫りになってきます。外出自粛で気晴らしができなくなったことも要因です」

 首都圏に住む女性(50)は、夫が自室や車のトランクにトイレットペーパー、インスタント食品などを隠しているのを発見し、唖然とした。品薄が報じられ隠れて買い込んでいたらしい。

「“モノがなくなる”という噂はデマと知っていたはずなのに。いま喧嘩してもいいことがないので、グッと我慢して気づいていないフリをしていますが、“ドン引き”です」

 一緒にいる時間が長くなり、「息が詰まる」と感じる人も多い。神奈川県の会社員男性(35)は3月下旬から夫婦そろって在宅勤務になった。これまではめったに喧嘩などしなかったが、3週間ですでに2度喧嘩したという。

「狭い家なのでリビングで顔を突き合わせて仕事をし、24時間一緒です。最初は楽しかったんですが、資料の広げ方、手の洗い方など僕にイチイチ“助言”をしてくるようになって……。うまく回っていた歯車がちょっとずつズレてきているような気がして不安です」

 表面化した夫婦の溝を埋めるには、どうすればいいのか。前出の海原医師は、短時間でも「パーソナルタイム」をつくることが大切だという。

「感情が爆発しそうなときは、近所へジョギングに行く、イヤホンで音楽を聴くなど、完全に自分だけの時間をつくりましょう。10分でもそんな時間があれば、自分を取り戻し、心が落ち着くはずです」

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