医学部以外でも、欧米以外の大学を目指す動きがある。マレーシアへの留学プログラムを提供する国際開発センターの竹嶋千津子さんは、こう話す。

「ここ2、3年で、マレーシアの大学を目指す動きが増えてきています」

 海外留学協議会の19年の調査によると、学位取得が目的の留学者数は米国、オーストラリアに次いで多い。

 進学メリットは大きいという。欧米などの名門大の分校や提携校があり、教育の質が高い。例えば、ノッティンガム大マレーシア校は、本校が英国の名門大。マレーシア校でも同じ水準の教育を提供しており、学位も取れる。また、ヘルプ大には世界でもトップクラスのロンドン大の学位が取れるプログラムがある。

「学費も生活費も安く、地方の学生が東京に出てくるよりも費用を抑えることもできる。これからはアジアの時代になると言われており、マレーシアで長期間学ぶ経験はこれからのグローバル人材にとっては大きい」

 日本で実力をつけてから海外の大学に進学するケースも多い。
 米国のレイクランド大には日本キャンパスがある。英語研修課程と教養課程が設置され、短期大学士号が取得できる。その後、本校や他の大学の3年次に編入することができる。

 NICインターナショナル・カレッジ・イン・ ジャパンでは、海外大の進学を目指す1年間のプログラムが用意されている。海外大で必要とされる英語力や表現力、分析的思考などを身に付ける。また、米国の大学の1、2年次に相当する一般教養科目が履修でき、渡米後の滞在期間を短くすることができる。4年制大学を最短2年半で卒業することも可能だ。

 その他にも、日本にいながら海外大を卒業できる仕組みもある。米国のテンプル大は日本にキャンパスを持っている。カリキュラムは本校とほぼ同じで、授業は英語。学位は本校から授与される。

 海外大の選択肢は多い。積極的に検討してみよう。(本誌・吉崎洋夫、緒方麦)

週刊朝日  2020年5月1日号より抜粋、加筆

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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