●絵本を読みたいのに!赤ちゃんの困った行動

 少し月齢が上がると、自分の意思で絵本を触るようになってきます。親としては「1ページ1ページちゃんと読みたい」のに、赤ちゃんはどんどんページをめくって行く。なんなら、途中から戻ったり読み進めたり。ストーリー通りにめくることができないことがあります。「困ったなあ」と思うかもしれませんが、この時、大切にしたいのは「絵本に興味を持っている赤ちゃんの気持ち」。自分でめくって、行ったり来たりして絵を楽しんでいるのですから、赤ちゃんの好きにさせてあげましょう。グチャグチャにしたり破ったりしそうなら止めますが、怒る必要はありません。赤ちゃんにとって、絵本はおもちゃです。最初はなめたり噛んだりすることもありますが、ゆっくり絵本の扱い方を覚えていけばいいのです。

 また「毎日同じ本」なんて時期もあります。赤ちゃんのために買った他の本もあるのに。「え?今日もその本?そして一日何回読むの?」というくらいしつこく「読んで!」と言われることがあります。他の本で誘ってみても「NO!」。そんな時は、気が済むまでお気に入りの本を読んであげましょう。親は何度も読まされて飽きてしまっているかもしれませんが、赤ちゃんにとっては、毎回何かしらの発見があるのです。知っている絵本を繰り返し読むことへの安心感もあるのでしょう。

 絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの感情を刺激し、想像力をはぐくみます。親のひざの上で親の体温を感じながら読む絵本は幸せの時間。親にとっても、子どもの体温、においを感じながらゆったり過ごす時間は心の安定になります。日々のほんの少しの時間で構いませんので、取り入れてみてください。親と一緒に絵本を読んだという経験は、大人になるまで心に残ります。40歳を過ぎた私が今でも、その幸せな時間のことを鮮明に覚えているのですから。(文/中田馨)

※この連載コラム配信は今回で終わります。ありがとうございました。

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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