そうそう、安倍政権は医療費を削減させ病院の数を少なくし、研究などに使われていた費用も大胆に削ってきた。そのことも今回、慌てる要素の一つになっている。

 もう安倍さんにはお辞めになっていただきたい。彼の思いつきは、かなりの確率で失敗している。人もたくさん亡くなっている今、責任を取るつもりもない彼が頭でいいんだろうか?

 布マスク配布とか(妊婦用では不良品が多かったらしいね。布はウイルスを通すしね)、急に学校を一斉に休校とか(その後感染者が増えたんですけど)、人との接触を8割減らせといってSNSで人気歌手とコラボした、ご自身が家でくつろぐ動画を投稿とか(いや、そういうことじゃなく、どのようにしたらそうできるのか? またその間の生活はどうするのか?を教えて欲しいんですが)。

 彼のいってることに、根拠らしい根拠が見えてこない。まるで、思いつきのよう。その思いつきに税金が使われる。あたしたちも、振りまわされる。

 そして、今は情報が大事なのに、バレるような嘘も平気だ。「休業補償をおこなっている国は世界に例がない」「感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、2万5千床を超える病床を確保している」

 4月17日の東京新聞によれば、感染症病床の数は昨年4月1日現在で1871床。一般病床で対応できるところを含めても1万607床だっていうじゃないか。

 あ、五輪延期でかかる費用3千億円を、日本が負担するって話も出てたけど、それも思いつきか。

週刊朝日  2020年5月8‐15日合併号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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