「防護服は貴重な上、入院患者の容体は短時間で一変するので、一度、レッドゾーンに立ち入ったら、ぶっ通しで10時間働き続けることもあります。防護服を脱いで、食事ができるのはグリーンゾーンだけ。それも、わずかな時間を見計らって、立ったまま、病院内の24時間営業のコンビニで調達した、おにぎり、サンドイッチを食べるのが精一杯です。栄養は偏る上、食事を楽しむ余裕などありません」

 こうした環境が1カ月以上も続いていることを考えれば、問い合わせが相次ぐのも無理はない。ただ、課題もあった。院内感染防止を理由に、多くの病院が宅配そのものを禁止しているのだ。そこで石田さんは、個別の医療機関と相談を重ね、例えば「調理をするスタッフを通常の半数にして、ソーシャルディスタンスを保った環境で調理する」「お弁当の受け渡しは、病院側が指定した屋外に限定し、配送を担当するスタッフは病院の館内には絶対に立ち入らない」など独自のガイドラインを作った。(編集部・中原一歩)

AERA 2020年5月18日号より抜粋