現役時代の王貞治氏 (c)朝日新聞社
現役時代の王貞治氏 (c)朝日新聞社
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 王貞治という名前を聞いて何を思い出すだろうかーー。

 多くの人は一本足打法で最も多くのホームランを放ったプロ野球界の“レジェンド”という認識を持っているだろう。もちろん、それは全く間違いではないのだが、あまりにホームランというイメージが先行しているため、他の偉業への注目が集まらない印象を受ける。

 だが王氏の成績を見返すと、ホームラン以外にも数々の金字塔を打ち立てていることが分かる。現役時代を知っている方ならある程度は覚えているかもしれないが、改めて王氏が残した功績がいかに凄いのかを振り返ってみたい。

 まず、王氏の凄さは歴代1位のシーズン記録と通算記録を数多く持っていることである。下記に主な記録をまとめたが、いかに飛び抜けていたかを知ってもらうため、シーズン記録は王氏以外で次点の選手、通算記録は2位の選手も併せて記した。※出塁率、OPSは全て現行の算出方法で計算。出塁率、長打率、OPSは4000打席以上の選手を対象とし、戦前の選手は除いた。

■シーズン記録

・四球:158 次点:丸佳浩(4位:130)
・敬遠:45 次点:野村克也(4位:37)
・出塁率:.532 次点:落合博満(7位:.487)
・OPS:1.293 次点:バース(2位:1.258)

■通算記録

・得点:1967 2位:福本豊(1656)
・本塁打:868 2位:野村克也(657)
・塁打:5862 2位:野村克也(5315)
・打点:2170 2位:野村克也(1988)
・四球:2390 2位:落合博満(1475)
・敬遠:427 2位:張本勲(228)
・出塁率 .446 2位:落合博満(.415)
・長打率:.634  2位:カブレラ(.592)
・OPS:1.080 2位:松井秀喜(.996)

 シーズン、通算ともに多くの歴代最高記録を持っているのも見事だが、シーズン記録では四球と敬遠で上位3位までを王氏が独占。出塁率では上位6位までを占め、次点の選手との差を見ても、王氏がいかにずば抜けたプレイヤーであったかが分かるだろう。

 通算記録についても、全て2位以下に大きな差をつけている。特に四球と敬遠の数は断トツ。王氏が巨人でプレーしたのはV9の時期も含まれており、当時のチームは決して王氏のワンマンチームということではなかったが、その中でも相手チームが対戦を嫌がる強打者だったことを示している。かつ、なかなか勝負してもらえない中でも、我慢して四球を選んで出塁していたのは、技術的な部分だけではなく精神的にも秀でていたことを物語っている。

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連続タイトル獲得でも“異常”な凄さ