首都圏の冷蔵倉庫に入らないと、名古屋などに分散させることもある。「極力、輸送距離を短くしたい」(業界関係者)というねらいとは裏腹に、遠隔地へのトラック輸送でコストが跳ね上がってしまう。
日本冷蔵倉庫協会が公表した市場データは、現時点で3月分が最新で、庫腹占有率は主要12都市で100%超えが東京と横浜だけだった。「3月時点で庫腹いっぱいという認識はない」(協会の担当者)という。ただ、大都市は軒並み90%前後の高水準のうえ、首都圏で東京と横浜をバックアップできるのが川崎ぐらいで、ここも90%弱の水準。船橋もあるが、90%半ばで設備能力も小さい。
冷蔵倉庫業界では昨秋、庫腹ひっ迫問題に懸念の声があがった。協会は業者に対し、庫腹を短期で拡大するのは困難だとし、理解を求めるなど説明に追われた。資料によると、過去10年で庫腹が14%増えたが、入庫量が25%増と大幅に上回ったことが背景だとした。貿易協定締結や関税引き下げによる食材・食品の輸入拡大などで冷凍食品の消費拡大もあると指摘。冷凍食品は比重が小さく、同じ重量でも容積を必要とし、庫腹不足を加速させているという。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2020年5月29日号