調理に便利なカット野菜やギョーザなどの冷凍食品。家庭用の市場が広がるなか、ここにきて新型コロナウイルスの感染拡大が「特需」を生み出している。4月の緊急事態宣言の前後から外出自粛を見越し、東京都心のスーパーでは冷凍食品の売り切れが続出した。
家庭用冷凍食品の需要拡大は、流通の構造問題をあぶり出した。食品メーカーや商社が、冷凍も含め10度以下で荷物を預けるのが冷蔵倉庫。その庫腹(保管容積)が大都市で限界に近づきつつあるという。業界関係者はこう話す。
「冷蔵倉庫はアクセスのいい所に建てたいのですが、用地問題もあり簡単に建てることが難しく、大都市は慢性的にひっ迫しています。首都圏や関西圏に温度管理の必要な商品が出てくると倉庫がいっぱいになる」
別の業界関係者も「冷蔵倉庫の在庫は高水準で推移しています」という。庫腹のひっ迫は、在庫が高水準のまま動かずに、商品の回転が滞ると起こる。最近は東京五輪・パラリンピックやインバウンド(訪日外国人客)需要を見込んで在庫を持つ動きがあり、ひっ迫感が強まっていた。五輪延期や外出自粛で荷物の動きが滞る懸念も出てきた。