入試改革と新型コロナで高校生に「不条理」が襲っている。だが、そんなときこそ人生の不条理と闘う術を身につける好機だという。AERA 2020年5月25日号は、教育ジャーナリスト後藤健夫さんに話を聞いた。
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新型コロナウイルス禍に伴い、入試スケジュールの延期や9月入学の是非が議論されています。新テスト導入の混乱とコロナ禍のダブルショックで高校3年生は不安でいっぱいでしょう。実に不条理だと思います。
でも一歩引いて考えれば、そもそも思い通りにならないのが人生。この先もきっと、多くの不条理に遭遇します。であればいまは、「不条理と闘う術を身につける好機」と捉えるほうが得策です。不条理と闘うにはマインドセットが重要。それは「脱・他責」。つまり「自立した学習者」になることです。
入試はゴールではなく、夢を実現するための通過点に過ぎません。自分は何を目指し、そのために何を学びたいのか。総合型選抜では特にそれが問われますが、一般選抜の受験生も高1、2年生もいまこそ、それを考えた方がいい。
不条理に立ち向かうには広い視野と課題解決力が必要です。重要になるのが、英語とプログラミングです。
英語で情報収集できれば、見える世界が広がります。話題の英語の本も中国語版は1、2カ月後に出版されるのに、日本語版は1、2年後。そのタイムラグは致命的です。コロナに関しても英語でも情報収集できれば複眼的な視点を持てます。
プログラミングを学ぶと物事を論理的・多面的に捉える力がつきます。英語もプログラミングもスキルなので自分で勉強できます。在宅時間が長いいまがチャンスです。
古今東西の小説を読むのもおすすめ。いま、リアルな体験はできませんが、本の中では課題解決の疑似体験ができます。読解力もつき一石二鳥。入試改革の目的は「正解のない問い」への対応力をつけること。現在の試練に挑むことは必ず役立ちます。
(構成/編集部・石臥薫子)
※AERA 2020年5月25日号