慶応義塾大学病院が無症状の患者にPCR検査をした結果も陽性率約6%だった。仮に3%で東京都の感染者数を推定すると約42万人だ。
Q9:抗体検査の精度は? どんな人に有効か。
厚労省の研究班による抗体検査キットなどの性能評価で500検体から2例(0.4%)の偽陽性が出た。100%とは言えないが検査機器の精度は向上しており、ある程度は信頼できそうだ。上医師が語る。
「第2波に対応するためにも、医療従事者、介護職員、学校の教員などの抗体を調べておく必要があります。ほかにも、飲食店関係や営業職など不特定多数と接触する人はリスクが高い。検査体制の拡充が必要です」
Q10:超過死亡ってどういう意味?
超過死亡とは、インフルエンザ流行時の死者数を推計する際などに用いられる指標。非流行時の死者数(がんや心疾患など)をベースラインとして、流行時の実際の死者数と比較する。何らかの感染症が流行していなければ超過死亡は起きない。国立感染症研究所の「インフルエンザ関連死亡迅速把握システム」によると、東京23区では2月中旬から3月までの5週間にわたって、毎週50~60人の超過死亡が確認されている。
上医師が指摘する。
「年明けはインフルエンザが収束しており、新型コロナの流行と符合します。PCR検査が増え始めたのはオリンピック延期を決めた3月末以降のこと。厚労省の感染症対策がいかに遅れていたか、一目瞭然です」
Q11:コロナ治療費、自己負担ならいくらかかる?
指定感染症である新型コロナは検査も治療費も公費負担。仮に自己負担になったら膨大な費用がかかりそうだ。水野医師が説明する。
「PCR検査は外注検査の場合、保険点数で1800点(1万8千円)、抗原検査は保険点数で600点(6千円)ですが、判断料などを入れるとさらに費用がかかる。入院すると隔離の必要があり、いろいろな薬も使うし、重症例では集中治療も必要。ICUに入ったら相当な費用がかかると思います」
基本的に患者側には請求されないが、病院でPCR検査を受けた場合の初診料等は自己負担が発生する。やっぱり感染しないように気をつけたい。(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2020年6月12日号