自治体によっては移住に関するセミナーのほか、現地ツアーなども用意している。移住後地域になじめるように、移住者ネットワークがあるところもある。サポート体制を確認したい。

 41道府県の移住相談員を配置する「ふるさと回帰支援センター」(東京・有楽町)でも、住まいや仕事探しなど移住に関する情報提供や支援をしている。移住先の現地訪問が難しい場合は、同センターの移住相談ブースを利用できる(要事前予約)。

 08年に2475件だった相談件数は、19年には4万9401件にまで増加した。相談者は東京在住者が半数を占める。

 移住というと、定年退職した人が自然豊かな農村でゆっくり過ごすというイメージがある。実際、08年の相談件数は50代以上でほぼ7割を占めた。

 だが、15年以降は特に30代以下の相談割合が増加した。同年、東京一極集中の是正のために、国が地方創生事業に本格着手。同センターでも相談員を置く自治体が増え、利用しやすくなった。また、リーマン・ショック後の終身雇用体制の揺らぎなどから都会に住む魅力が薄れ、結婚・出産など人生の節目でUIターンを考える人たちが増えたとみられる。19年には40代以下の相談割合が7割近くに達した。

 これから移住を考える場合、どんな注意点があるのか。同センターの高橋公理事長は、こうアドバイスする。

「『移住』はあくまでも手段です。向こうに行った後の暮らしについて、イメージがはっきりしないうちは、移住そのものをおすすめしません。移住地や就労希望について、ある程度具体的にイメージを固めた上で相談に来てもらったほうが、その後の失敗にもつながりにくいと思います」

 コロナ感染者が少ないことから、この機に改めて地方に目を向けた人もいるだろう。だが、高橋理事長はこう注意を呼びかける。

「現在は緊急事態宣言が解除されて間もないこともあり、県をまたぐ移動・移住に対して、受け入れ先の地方自治体も以前より慎重になっています。移住時期は、少し余裕を見積もったほうがいいかもしれません」

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