今シーズンのプロ野球。ここまでで最も強烈なインパクトを残した投手を一人挙げるとすると山本由伸(オリックス)になるだろう。開幕3戦目に先発登板すると、好調楽天打線を相手に8回を投げて被安打3、10奪三振で無失点という圧巻のピッチングを見せてシーズン初勝利を飾った。2回目の先発となったロッテ戦はやや不安定だったものの、今月5日の西武戦では7回を自責点1にまとめて2勝目を飾っている。
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プロ入り4年目、今年で22歳という若さながら球界を代表する投手に成長したと言えるだろう。しかし、そんな山本のドラフト時点の順位は4位と決して高いものではなかった。その理由としては上背の無さや、故障があるという噂が流れたからなどと言われているが、この順位でこれだけの短期間に一流投手になった例は決して多くはないだろう。そこで今回は、ドラフト指名順位は4位以下と低かったものの、山本に続いてブレイクの期待がかかる高校卒の若手投手について探ってみたいと思う。
山本と同学年で、更に低い順位ながら既にローテーション入りを果たしているのが種市篤暉(ロッテ)だ。八戸工大一高時代は甲子園出場こそなかったものの、2年秋、3年春と連続して東北大会に出場し、県内では評判の大型右腕だった。しかし当時は140キロ台中盤のスピードはありながらも、高校生の大型投手にありがちなバランスの悪さも目立ち、安定感では一学年下の古屋敷匠眞(現法政大)の方が上回っていた印象だ。そのような事情もあって、ドラフトの指名順位は6位というものだったが、プロ入り後は驚きのスピードで成長を遂げている。
1年目は2軍でもほとんど登板せず、体作りとフォーム固めに取り組んだことが奏功し、2年目の終盤には一軍の先発ローテーションに定着。そして3年目の昨年はチームトップタイの8勝をマークし、一躍先発投手陣の中心へと成長したのだ。今シーズンもここまで3試合に登板して勝ち星こそついていないが全てQS(クオリティ・スタート:先発投手が6回以上を投げて自責点3以内に抑えること)をクリアし、防御率も2.37と安定した投球を続けている。150キロに迫るストレートと鋭く落ちるフォークで奪三振率が高いのも魅力だ。今後は山本とタイトルを争うような投手に成長することも十分に期待できるだろう。