そして、撮影が延びればそれだけ人件費や機材費やらで予算がかさむ。
だから雨の中でもロケ強行。雨の設定で演者が傘さして強行。
シーンの途中で雨が止んだら、「止んだな」というセリフを足して傘を畳んで強行。
「浦安鉄筋家族」という、はちゃめちゃでぶっ飛んだ原作ありきのドラマだからできる無茶を通して、なんとか全てのシーンの撮影を終えたのである。
クランクアップを迎えた瞬間は、感無量だった。
「小鉄」演じた斎藤汰鷹(たいよう、小5)は佐藤二朗さんのお腹に顔を埋めて号泣。
女性スタッフ全員もらい泣き。
アドリブにも対応してくるこの汰鷹、ほんとうに奇跡の子役だった。
カメラの外では、ちゃんと子供らしくやんちゃで元気で、そこも素晴らしかった。
それから、アラサーにして高校生を全く違和感なく演じ、この「浦安鉄筋家族」の世界観に違和感なく存在する岸井ゆきのという女優は一体何者なのさ。
本多力くん色々面白すぎるよ。で、佐藤二朗さん。
この人と夫婦をやれるなんて。
その二朗さんがクランクアップの挨拶で感極まって言葉を詰まらせたもんだからもう、みんなまたもらい泣き。
監督も涙流しながらの挨拶。涙涙でした。
こんなに涙あふれるクランクアップは初めての経験。
素晴らしいチームだったな。身体にダメージはきたけども。
毎朝起きると節々が痛かったし、ふくらはぎつりそうになって夜中に目は覚めたし、原因不明のアザができていたりしたけれども。
コメディーってのはこの歳になると身体にくるな。
しかし身を削った分、たくさん面白いシーンを創り上げて、記録に残せたと思う。
いい大人が集まって全力で汗だくで息切れしながらふざけたと思う。
こんなに満身創痍で余力を残さないクランクアップは後にも先にもないだろう。
いやさ、瑠東東一郎監督は「水野さんまた絶対お願いしますね!」とありがたいことに私に身体を張らせる気まんまんだし、某先生からもまたぶっ飛んだ企画書が届いているし、これ以上の満身創痍が待ち受けているのかもしれない……。
とりあえずスポーツジム、入会しました。
「浦安鉄筋家族」の放送再開は8月21日です!
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