「SU剤は使い続けるとインスリンが出にくくなり、かえって糖尿病を悪化させます。インクレチン関連剤はいずれも免疫機能を低下させるので、感染症を悪化させ、発がん性にもつながります。血糖値を正常値まで下げようとすると低血糖になって動悸(どうき)、発汗、意識障害などの症状が表れ、心臓や腎臓に障害を起こすリスクがある。低血糖のほうが怖いので、少量のインスリンを補う程度に使う治療法に変えることを勧めます」

 血液中のコレステロールが多いと、動脈硬化の原因になると一般的にいわれている。総コレステロールの基準値は130~219mg/dLだ。「悪玉」と称されるLDLコレステロールが140以上だと、脂質異常症と診断される。

 しかし、コレステロールは3大栄養素の脂質の重要な成分。免疫をはじめ体の活動を支えるために必須のものだ。浜医師は、「悪玉」も含め、コレステロールが高めの人のほうが長生きで、無理に下げると免疫力が弱まり、コロナなどの感染症にかかりやすくなると説明する。

「コレステロール低下剤としてよく処方されるスタチン剤は、体に必須のコエンザイムQや糖たんぱくをできにくくして、免疫力や細胞の働きを弱めます。注射剤のPCSK9阻害剤はLDLコレステロールを低下させますが、心筋梗塞の防止に効果はありません。どの薬も、いつやめても何の不都合もありません」

 薬剤師で『その「1錠」が脳をダメにする』などの著書がある宇多川久美子氏は、生活習慣病の薬について見解をこう語る。

「基礎疾患を放っておくことはリスクが高いので、高血圧や糖尿病の薬についてはやめたほうがいいとは言えません。ただ、薬を飲んでいるから病気をコントロールできていると思い込みがちです。コロナで自宅にいる時間が長くなって食事の習慣を変えてみたり、ウォーキングを始めたりしたことで、生活習慣病の薬が自分にとって本当に必要かどうか気づいた人も多くいます。『あれ、この薬は飲まなくてもよかったのか』と考えるきっかけになったのではないでしょうか。例えば、高血圧の薬を普段40ミリ飲んでいる人は少しずつ減らしてみて大丈夫だと思えればいい。万一、血圧が上がってしまったら、また飲み始めればいいのです」

(本誌・亀井洋志、秦正理)

週刊朝日  2020年7月24日号より抜粋

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