いまや大学生の約半数が受給している奨学金。返済できずに破産者が出るなど、社会問題化している。AERAでは、日本初の奨学金プラットフォームの創業者、高瀛龍(こういんろん)さんにサービス立ち上げに至る思いを聞いた。
【画像】5月にリリースされた全国の奨学金情報を検索できるサービスはこちら
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社会への第一歩を踏み出す際に数百万の「借金」を負う──。
貸与型の奨学金は実際はローンと変わりない。返済が困難になり奨学金破産に陥る人も現れ、社会問題とされてきた。
2018年度からは日本学生支援機構の給付型奨学金制度が本格的に始まったが、新型コロナの余波が家計を直撃している今、学費の工面に頭を悩ませる学生はさらに増えるだろう。
「貸与ではなく給付を」が昨今の奨学金をめぐるキーワードだ。
■返済が就活にも影響
5月にベータ版がリリースされたばかりの「Crono My奨学金」は、日本初の奨学金プラットフォーム。全国の奨学金情報から自分に合ったものを検索できるサービスだ。エリアや学年、大学名などを設定した後、併願可、面接なしなどの条件で絞り込める。掲載している情報は全て給付型、または将来の返済免除がある奨学金だ。
サービスを運営するCronoの社長、高瀛龍(こういんろん)さん(31)自身も、大学4年間で計500万~600万円の奨学金を借りた。
「月5万円ほどの返済があったので就職先を探すときも年収を優先しました。返済の不安がなく、やりたいことベースで仕事を探せたら、もっと自由度が高い人生だったかもしれません」
次の世代にこの問題を残したくないという思いでサービスの立ち上げを決めた。
苦労したのはデータの収集と整理だ。奨学金情報は、ネット上になく、学内の掲示板や紙媒体、地元の広報誌などでしか告知されていないことも多い。1年ほどかけて約1万件集めたデータを、2千件ほどに絞り込んだ。
「親の所得証明を取り寄せる必要があったり、手書きの申込書類を書いたり、奨学金の応募は工程が多い。募集枠が少ないとせっかく準備しても無駄になることも多いので、もらえる可能性が高いものを厳選しました」