「先が長いわけではないですから、結婚できなくても、たまにお茶して、ご飯がおいしいねと言ってくれる人がいるだけでもいい。相手に子どもがいたり、介護の問題があったりと背負うものがあるかもしれないけど、いい人と巡り合いたい」

 マキさんの例のように、シニア世代もネットを活用して結婚相手や恋人を探すようになっている。中高年層がスマホを活用できないというイメージはもはや時代錯誤だ。「NTTドコモモバイル社会研究所」の調査によると、60代のスマホの所有率は2015年の33%から19年は68%へと急増。70代の所有率も19年は41%と4割を超えた。シニアでもスマホのアプリを活用して、より手軽に異性との出会いを求められるようになってきたのだ。

 かつて「ネットでの出会い」といえば、社会問題ともなった「出会い系」のイメージが強かったが、10年代前半から真剣に恋人や結婚相手を探す人を対象にした「恋活・婚活アプリ」が台頭。マッチングアプリ「タップル誕生」を運営するマッチングエージェント(東京都)の調査では、市場規模は右肩上がり。19年のオンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は、前年比約4割増の530億円で、24年には1千億円を超えると予想されている。

 そんな中、シニアにも使いやすいマッチングアプリが続々登場している。「マリッシュ」は再婚、中年婚、年の差婚も支援するとアピール。利用者の最高齢は90歳だ。広報担当者はこう説明する。

「会員は2割超が50代以上で、シニアや再婚の方もカップリングしやすい。アプリで会員を一覧表示する時、写真と年齢だけでなく、自己紹介の文章も見られるようにしています。顔や条件だけでなく、価値観や人となりを重視したいシニアのニーズに応えました」

 身長、趣味だけでなく、未婚、離別、死別、子どもの有無、いつまでに結婚したいか意思表示できるのも特徴だ。

「高齢という理由だけでモテないことはありません。身なりに気を使って清潔感があり、会話のキャッチボールができる人は70、80代でもマッチングに成功しているようです。20、30歳年下にアプローチして、連絡先を交換するまでになった人もいます」(広報担当者)

 マリッシュでは、男性が月額3400円の利用料を払えば、1カ月300件の「いいね」を押せる。さらに、マッチングすればメッセージは送り放題。女性は一切無料だ。ほかにも、「ユーブライド」などのアプリもシニアに使いやすいよう、同様の配慮をしている。アプリではないが婚活サイト「パートナーズ」「再婚.JP」もシニアの利用者が多い。(井上有紀子)

週刊朝日  2020年7月24日号より抜粋

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