本来、結婚するかしないか、子どもを持つか否かは、選択肢としてすべて等価。でも実際は、何を選ぶかで負荷のかかり方が全く変わります。結婚して出産する人に世間からの「おとがめ」はもちろんない。でも、もし未婚で子どもを産むと、どのような事情があったのか、ある意味、世の中の理解を得られる形で説明しないといけなくなります。「説明責任」を負わされるのは常に少数者の側なんです。
緊急事態宣言中は、最低限の買い物を除き、ずっと家にいました。妹と2人で暮らしていますが、話ができる相手はほぼ妹だけ。家族というユニットの強さを改めて意識させられました。今後も新型コロナウイルスの感染拡大が続くと、旅行に行っても部屋食にして家族以外と交わらないなど、家族を基本単位とした社会の流れがさらに強まるのではないでしょうか。
ただ、その形成方法は婚姻でなくてもいい。私たちのような姉妹はもちろん、同性愛者や、事実婚カップルなど、一緒に住んでいて、それが有機的に機能しているなら、それも家族と呼んでいいのではないでしょうか。未婚を減らすというだけではなく、この機会に家族の形が土台から問い直されるようになるといいなと思います。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2020年7月31日号