8月3日、日本高等学校野球連盟は「プロ野球志望届」の提出者一覧の掲載をホームページ上でスタートし、初日には4名の選手の名前が公開された。しかし提出した中で実際に指名される選手は一部であり、またその一方で志望届を提出すればドラフト指名の可能性がある選手でもあえて大学や社会人へ進む選手も少なくない。そこで今回は、昨年の高校球界で実力がありながらもプロに進まなかった選手たちの現状と、プロ入りのために伸ばすべきポイントについて探ってみたいと思う。
昨年のU18侍ジャパンに選ばれた3年生の中で、最も甲子園で強いインパクトを残したのは林優樹(投手・近江→西濃運輸)になるだろう。2年夏には準々決勝で金足農に逆転サヨナラのツーランスクイズで敗れ、ホームベース付近でしばらく呆然となっていた姿を覚えている高校野球ファンも多いだろう。その林は昨年プロ志望届を提出したが、最初から社会人に進むことを大前提で考えていたと言われており、その噂通り指名はなく西濃運輸へと進んだ。
チームは現在、都市対抗予選に向けて精力的にオープン戦を行っているが、林の登板機会はまだ訪れておらず、体力強化の日々を送っている。林の最大の武器は打者の手元で鋭くブレーキのかかるチェンジアップだが、ストレートは130キロ台前半がアベレージであり、社会人の力のある打者に対するにはまだまだスピード不足というのが現状である。体格的なことや投手としてのタイプを考えてもストレートで押すタイプではないが、やはりもう少しスピードアップは必要になってくるだろう。コンスタントに140キロ近いスピードが出るようになれば、持ち味の変化球も更に生きてくるはずだ。今年はまずしっかりと体作りに励み、2年目から本格的な公式戦デビューを目指すというのが現実的だろう。
林のチームメイトだった有馬諒(捕手・近江→関西大)と住谷湧也(外野手・近江→西濃運輸)も将来が楽しみな選手だ。有馬は総合力では高校ナンバーワンとの評価もあった強肩強打のキャッチャー。大学でも春先のオープン戦では既に出場機会も得ている。チームには久保田拓真(3年・津田学園)という実力者の捕手がいるが、1年目から併用される可能性は十分にあるだろう。住谷は2年夏の甲子園で史上最高打率となる.769を記録した強打の外野手。社会人でも林とチームメイトとなったが、オープン戦では既に何度もスタメン出場を果たしておりホームランも放っている。ミート力は高いだけに、長打力と守備面が向上すれば将来のプロ入りも十分に狙えそうだ。