この記事の写真をすべて見る
42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は日々感じる「コロナの影響」について。
* * *
コロナの影響でいろんなスケジュールがいろんな風にズレ込んだ結果、私は今、最大の余波の中にいる。
今月世田谷パブリックシアターで幕を開ける、劇作家ケラリーノ・サンドロヴィッチさんと、その妻緒川たまきさんのユニット「ケムリ研究室」の旗揚げ公演「ベイジルタウンの女神」の稽古(こちらは当初の予定通り)をメインに、空いた時間には他の様々な仕事が入ってくる。笑っちゃうくらい、いっぱいいっぱいだ。
「がんばってます」「がんばりました」なんて言うのは、なかなかはばかられるものだが、はっきり言える。
今、わたしがんばってます。
思えばあのステイホームの心穏やかに過ごした日々は、嵐の前の静けさだった。
経験というものは、通り過ぎて振り返って見ると、その渦中にいた時とは違った見え方をするものだ。
今や毎日検温、消毒、マスク、フェイスガード、ソーシャルディスタンスはあたりまえ。
来年の今頃には何がどうなっているだろうか。
今の状況を振り返って「あの時は異常事態だったよね」と思うのだろうか。
今日は稽古場で「PCR検査」をやった。
迫っている初日に向けて、スタッフキャスト全員が一斉に検査をした。
稽古場にクリニックの先生が大量の検査キットを運び込み、説明がなされた。唾液を採取するプラスチック容器の検査キットだった。
先生の説明に従って容器に結構な量の唾液を流し込み、提出するだけ。二日後には陽性反応の出た人にのみ連絡がいく。
いつどこで感染するか分からないし、無症状の人もいるというし、自分が陰性である確証なんてない。
誰かに陽性反応が出た場合の対処も決まっているので、焦ることはないにしても、やっぱり心苦しいものである。
全く無症状で陽性反応の出た知人に話を聞くと、その人は毎朝検温していて、ある日37.8度までポンと体温が上がり、念のために検査をしたところ陽性になった、ということだった。それもその日の夕方には平熱に戻り、それ以外はまったく無症状だったとのこと。