対象となる治療は体外受精および顕微授精の「特定不妊治療」で、対象者は特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された夫婦(法律上の婚姻が必要。ただし自治体によって事実婚も助成対象としている場合があります)。また妻の年齢が43歳未満(治療期間の初日まで)であることも条件です。
助成の内容は以下のようになります。
1. 特定不妊治療の費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植などについては7.5万円)まで。初回の治療に限り30万円まで助成(凍結胚移植は除く)
通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。
2.特定不妊治療のうち精子を精巣または精巣上体から採取するための手術を行った場合は、1回の治療につき15万円まで。初回の治療に限り30万円まで助成(凍結胚移植は除く)。
ただし、上記の内容は自治体により対象の条件や助成額が異なることがあるので、かならず住んでいる自治体のホームページなどで確認してください。
助成の条件としては夫婦合算の所得が「730万円未満」となっています。
ここで勘違いして「受け取れるはずの助成金を申請しなかった」などといったことがないように注意してください。
730万円というと例えば「夫婦のうち1人が年収500万円、もう1人が300万円なので助成対象外」と思う人もいるかもしれませんが、730万円というのは「所得」で給与などの額面金額とは違います。社会保険料分の控除や給与所得控除などを差し引いた額で、例に出した世帯収入800万円の家庭も対象となります。自分の年間所得は源泉徴収票などで確認できます。またこの所得の条件も自治体によって異なる場合があるので、ほかの条件とあわせて確認してください。
なお、不妊治療費も税金の医療費控除の対象となります。何年かに渡って治療している場合、初年度は所得制限により対象外でも医療費控除申告により翌年から助成対象となる場合もあるので、確認してみましょう。
生活を安定させる社会保障は数多くあります。次回も損をしないための社会保障の基礎知識について、引き続き解説したいと思います。
※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年9月3日時点での内容となっています。