社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第9回。
今回は、前回に引き続き経済不安の中、子育て世代が知っておかなければいけない子どもを産み、育てるための社会保障です。
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日本で少子化が進んでいることは、皆さん、ご存じだと思います。
1人の女性が一生の間に生む子どもの数に相当する合計特殊出生率は1.36(2019年)。人口減少が確実な状況で、政府は子育てのための社会保障を数多く打ち出しています。具体的に子どもを望んでいる人はもちろん、いまは予定がない人でも将来のために、この社会保障は頭に入れておいたほうがこれからの自分の人生設計にも確実に役に立つでしょう。
■子どもが1歳になるまで賃金日額の67~50%を雇用保険から支給
前回、産前産後の約3カ月間において会社を休業できる「産休」について説明しました。その産休期間が過ぎた後は「育児休業(育休)」を取ることが認められています。育休とは、子育てと仕事の両立を支援するために育児・介護休業法で定められた制度で、期間は子どもが1歳に到達する日(1歳の前日)まで。1歳になるまでに自分で期間を決め、1度だけ休暇を取ることができます(条件により延長可能)。
産休の場合、会社には休業中の給与の支払い義務はありませんが、その点は育休も同様です。産休の期間中は、「出産手当金」が支給されます。これと同様に、育休期間中のお金の不安を軽減するための保障として「育児休業給付金」があります。
この社会保障は、
・雇用保険に加入している
・育児休業開始日前の2年間に、11日以上働いた月が12カ月以上ある
以上の条件を満たしている労働者が受け取ることができます。
育児休業給付金の支給額は、以下の通りです。
・支給開始から180日目まで:休業開始時の賃金日額×支給日数の67%
・181日以降:休業開始時賃金日額×支給日数の50%